愚を編む。居飛車メインで将棋の研究をしてマス 

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四つの振り飛車と「糸谷流右玉」の考察

   ↑  2016/07/20 (水)  カテゴリー: 将棋
「糸谷流右玉」というと昔はマイナーの極みだったが、最近ではそれほど珍しくもないのだろうか。主に研究熱心なアマチュアに多用されるこの戦法は、これ一つでほぼ全ての振り飛車に対応できるという大きなメリットがある。今回は私なりに研究した「糸谷流右玉」を明かそうと思う。

(1)対「向かい飛車」……有力
 対振り右玉は向かい飛車と相性が良い。何故なら向かい飛車の飛車ぶつけには交換に応じ、再度下段飛車を打てば右玉に隙は無く、振り飛車側の負担になるからだ。
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 向かい飛車は2筋からしか手が作れないのに対し、右玉は盤面全体で手を作ることができる。飛車交換はしない方が得だと思うが、そうなると向かい飛車にする意味は薄い。なまじ普通に囲った将棋よりも居飛車が勝ちやすいぐらいだと私は思っている。そんなわけで、向かい飛車に対しては右玉は恐れるところがない。

(2)対「三間飛車」……工夫が必要
 三間飛車は右玉の桂頭に砲台が向いているので、慎重な指し回しが必要とされる。昔の私は棒金の形で飛車先交換を防いでいたが、どうも玉が脆くなりすぎる嫌いがあり、逆転もされ易かった。
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 本来対振り右玉では右桂を跳ねて引き飛車を用意するが、桂頭攻めを考慮し桂を跳ねるのを後回しにするのが研究。そして▲5六歩を突かないことも一つのポイントである。△5五桂を残すのは不合理なようだが、そもそも桂交換を防ぐ方針なら問題は無い。左銀を5六に出て使えば後の△5三角などの棒金を圧迫するような手を防ぐことができる。△1五角の王手には▲3七金で問題なし。この形を使うようになってから三間飛車に対する勝率は上がったので、かなり有力な形だと思う。

(3)対「四間飛車」……難解
 対振り右玉にとって四間飛車は宿命の相手だ。四間飛車は序盤から危険な変化に囲まれていて、右玉側は神経を使う将棋になる。長いこと使ってみて分かったのは、先手番なら▲7六歩△3四歩▲2六歩△4四歩から右玉にできるが、後手番では▲7六歩△8四歩▲6六歩△8五歩という進行でしか右玉にできないということだ。後手番で角道を開けて右玉にするのは速攻を仕掛けられて右玉自信なし。四間飛車にて対振り右玉は、角道を開ける手はない方がいいのである。出来れば先手番でも▲7六歩はない方が良い。まあ、私は横歩取りや矢倉も指したいので突くのだけれども。
▲2六歩△3四歩▲7六歩△4四歩▲2五歩△3三角▲4八銀△4二飛▲3六歩△6二玉
▲3七桂△3二銀▲3八金△4五歩……参考図
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 もし△4五歩のところを△7二玉とすれば▲4六歩と突いて、一先ず安心できる。△4五歩は一見してかなり筋悪だが、この場合先手の形も褒められたものではないので釣り合いは取れているのだろう。ただ実戦的に、右玉に組めないというプレッシャーは強い。もし角道を開けていなければ▲3八金の一手が必要ないので、4筋の位を取られることはないのだ。
 なので▲2五歩とは決めず、右四間飛車を見せるのが安全そうだと今では考えている。
▲2六歩△3四歩▲7六歩△4四歩▲4八銀△4二飛▲4六歩△6二玉▲4七銀△7二玉
▲3六歩△8二玉▲3七桂……参考図
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 これなら先手は何も苦労せず右玉に組める。▲4六歩の瞬間△4五歩とされても▲同歩△同飛で先手は怖いところがない。右玉に固執する必要も無いので先の変化に比べれば悩まなくて良いメリットがある(それに振り飛車党はこういう速攻を嫌うイメージがある)。

 長くなったが、序盤の問題はこれで解決だ。ここからがまた難しく、今のところ四間飛車に対しては棒金+継ぎ歩の2筋突破が無難な攻めと言えそうだ。▲6九飛からの6筋攻めは攻撃力こそあれど、反撃をほぼ間違いなく喰らう形である。特に四間飛車は△4五歩の威力が高いので、反撃一つで攻めが頓挫するのも珍しくない。基本的に右玉は手を作られたら負けなので、▲7九飛から一歩を手に入れ、▲2四歩△同歩▲2五歩の継ぎ歩を狙うのが隙のない攻め方だろう。他の振り飛車に比べて2、3筋の守備力は低いので、入玉を視野に入れた作戦になりそうだ。
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(4)対「ゴキゲン中飛車」……後手に有力手段あり
 対振り右玉の中ではメジャーな部類に入る。序盤はむしろ楽な方で、問題は中盤、どちらが先に仕掛ける将棋になるのかということだ。今のところ振り飛車側から動くとすれば「△3二金・△3三桂型」「4筋に振り直す」「3筋に振り直す」の3つが考えられる。
「△3二金・△3三桂型」はそれほど心配する必要が無い印象。△4五歩に対しては▲同歩△同桂▲4六歩という受けがあり、そう簡単には潰れないからだ。むしろ桂を渡してしまうことで攻められる危険性がある。ゴキゲン中飛車に対する対振り右玉は攻撃力が格段に高いので、攻めは慎重に考えなければならない。
「4筋に振り直す」のも似たような理由で怖くない。やはり△4五同桂▲4六歩という受けが手堅く、△3七桂成▲同金の形が堅い。それに4筋に振り直すのは手数がかかる。
「3筋に振り直す」は本命。5五歩と角筋を遮断しているので、△5一角といった手が指しやすいのが根拠だ。△3五歩の仕掛けで味をつけ、そこで5四に上がった銀を△4五歩で参加させるというのが効果的。右玉の桂馬をいかに負担にさせるかが、対振り右玉に対する振り飛車ターニングポイントと言えるだろう。
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 対振り右玉は組み上がってしまえば振り飛車の攻撃力を無効化できる強みがある。反面、一度自分が攻め始めると反撃を全て防ぐことが難しくなってしまう。数ある将棋の戦型の中で最も逆転の起こりやすい将棋と言えるだろう。指しこなすにはかなりの序盤力と中盤センスが必要になる。逆に終盤力が活躍することはない。一手一手で勝つような将棋じゃないからね。
 固める将棋が苦手、下段飛車マニア、駒落ち名人だという人は「対振り右玉」をレパートリーに加えてみると面白いだろう。勝ち負けが本気で気にならない」ぐらいのメンタルは必須だが
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