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横歩取り「佐々木流▲6八玉」の研究2

   ↑  2016/07/28 (木)  カテゴリー: 将棋
 前回は「2二銀・8二飛」型という、青野流登場初期の対策が佐々木流に有効かを調べた。現段階での結論は「先手有望」ということでいいだろう。さて、次は今年6月30日に行われていた順位戦B1組▲丸山△山崎戦を見ていこう。この局、丸山九段は佐々木流を採用した。それに対する山崎八段は8五飛
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 前回の記事で「青野流にも有力」としていた手である。実戦では▲3六歩△2五飛と進んだが、何故前回解説した▲7七桂を選ばなかったのかを考えよう。
 まず青野流での△8五飛に▲7七桂とした理由だが、▲3六歩だと△8六歩の受けが面倒に感じていたからだ。△2五飛にはそれほど困らないので、味良く飛車を追ってしまおうという意味である。青野流のコンセプトは桂馬の攻めなので、跳ねられる内に跳ねておきたい。では何故▲7七桂を指さなかったのか。
 変化を読んでいないけれども、恐らくは▲7七桂と6八玉型は合わないからではないか。桂頭の脆さは勿論、さばきづらい角の側に玉がいるのも怖い。選ばなかったというより選びたくなかったのだろう。▲7七桂から持久戦にされると先手の形の悪さが目立つ。

 なので実戦では▲3六歩。『現代横歩取りのすべて(マイナビ)』の青野流の類似局面では「▲3六歩△8六歩と進んで先手は形勢を損ねる」と解説されており、実際つい最近まではその通りだと思っていたのだが――▲3三角成△同金▲3五飛という手順を激指に教えられた。△5五角が見えているだけに大胆な手順で、人だとなかなか思いつけない。だが残念ながら、序盤では先手有利と言っていた激指が手を進めると後手有利と言い出した
 ……ソフトには良くあるということで、知っておいて損はないぐらいの認識で十分だ。
 あくまで推測だけども、山崎八段としては△8六歩だと一直線の変化になってしまうので、それを嫌ったのだろう。ただそれだと▲3六歩がかなり得な手になる。▲3五飛の用意もできており、事実実戦では中盤まで先手がリードする展開になっていた。
 では「8五飛」型はどう指せば良いのか。と考えると、やはり△8六歩と打つしかないと思う。これは玉の近い佐々木流を咎める意味でもこう指したいところで、逆にこれが成立しないなら△8二飛の方が良いように思う。△8六歩が成立するなら先手はやはり▲7七桂と跳ねるしかなく、玉の位置が悪いことを気にしなければならない。どちらにしても佐々木流の存亡がかかった戦型と言えるだろう

 さて、青野流に対して有力だった変化は他にもある。
 始めに△4一玉だが、これには▲3六飛と青野流を捨てる。佐々木流の良さが現れていて、持久戦の時に▲3六飛の妥協がしやすいのだ。▲2六飛・6八玉と△8五飛・4一玉の勝負になるが、今のところこの変化は互角で、先手としてもやりがいのある局面になる。
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 次に△6二玉。これは色々考えたが、▲3六歩に△7二玉△2二銀のどちらかだと思う。順に調べていく。
7二玉は玉の安全度を上げて自然な手。▲3七桂と跳ねるが、そこで△8五飛が桂跳ねを牽制する飛車引き。勢い▲7七桂△5五飛▲8四歩△8二歩と進んで、先手は何を指すかだ。懐を広げ角の覗きも見せる▲9六歩が妥当なところだと思うが、この瞬間後手も手が広そう。後手が受け一方な分先手に主導権があり、チャンスを活かせるかが見極めどころだ。
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2二銀は飛車を追う狙い。△2三銀が見えているので△8五飛を防ぐ意味でも▲3五飛が指してみたい手だ。これに対して△7二玉はやや危険で、▲3七桂に△6二銀、△2三銀のどちらも▲4五桂で攻めが決まりそうである。△2三銀と先に構えて▲3七桂に△3四歩は考えられるが、後手が妥協し過ぎな気もする。▲6五飛で先手ペースだろう。
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 最後に△5二玉。青野流の本筋は佐々木流でどう変化するか。▲3六歩△7六飛に▲7七角が一つの主張。青野流では△2六歩▲3八銀△7七角成▲同桂△5五角という攻めがあるが、佐々木流ではそれが消えている。これで良ければ話は早いのだが、△7四飛が厄介。青野流では先手良しとされる変化だが、▲同飛△同歩▲3七桂△7七角成▲同桂と進んだ時に、いつか△2七角と打たれるのが先手になるのである。桂頭の弱点も目立つ為、これは6八玉型がたたっている。▲7七角は選びづらい順だろう。
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 そこで改良案が▲3七桂。△8八角成▲同銀△7八飛成の筋がないので、そもそも▲7七角は必要ないのだ。△9五角に▲7七歩が利くので▲8四飛も可能である。先手から▲4五桂、▲2二歩打、▲8四飛の揺さぶりがあり、後手は何を指せば良いか。△7四飛▲同飛△同歩はありそう。以下▲2四歩か▲8四歩か、当たりを避ける▲5八玉も魅力だ。一手損でも陣形の安定度が違う。これは互角と言えるんじゃないだろうか。
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 以上「佐々木流▲6八玉」にありえそうな変化を調べたが、△8五飛の懸念を覗いて先手も意外に戦えることが分かった。なかなか前例のない戦型なので、いずれ実戦例が豊富になることを祈ろう。ひとまず佐々木流の研究を、これでまとめておくことにする。
(基本図▲6八玉から……)
△2二銀」:角交換からの△3三銀には飛車先を連打して▲3五飛~▲7七桂。△8二飛と戻るのはもう一度叩いて▲4五桂が決まるかどうか。先手有望。
△8五飛」:▲3六歩に△8六歩が成立するかどうか。しない場合、△8二飛の方が得かも知れない。形勢不明。
△4一玉」:▲3六飛と定跡形に戻す。先手不満なし。
△6二玉」:やや後手が危なっかしい印象。▲3五飛と一つ引くのが有力。
△5二玉」:△7六飛の威力が減っているので、青野流より得かも。ただ飛車ぶつけが気になるところである。
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